社会医療法人 共愛会広報誌 Tsunagaru 2021年秋号
広報誌アンケートにご協力ください
いつも「広報誌 Tsunagaru」をご覧頂き、ありがとうございます。皆様のご意見を参考にさせて頂ければ幸いです。ぜひ、アンケートへのご協力をよろしくお願いいたします。
▼広報誌アンケートURL
https://docs.google.com/forms/d/1JXj_IQNqqZwHJv4zd-v-tYW4H4EfNB8UHbIrDheN3ps/viewform?edit_requested=true
病気のはなし
総合的ながん治療へつながる
ひとりひとりの状況や環境に合わせた
集学的がん治療
戸畑共立病院の丸山祐二に聞きました。
幾つかのがん治療を組み合わせる集学的治療へ
がんの治療には三つの柱があります。「手術」「放射線」「抗がん剤」です。これに近年、免疫チェックポイント阻害剤(※1)が加わり、「免疫治療」の進歩が期待されるようになりました。また最近は、がんの遺伝子を調べる方法が進歩し、個別化医療と呼ばれる「がん」に特定の遺伝子があれば効果が高い抗がん剤が選べる様になってきました。
さらに限られた病院になりますが、がんの遺伝子を一度に調べて有効な治療法を探す、ゲノム医療(※2)も始まっています。参加条件が厳しく、実際の治療につながることは今の所まだ少ないのが現状です。
実際のがん治療ではがんの種類や進行度によっては単独の治療では不十分な事があります。幾つかの治療を組み合わせることで高い効果を目指す治療を「集学的治療」といい、当院では「温熱療法」や「高気圧酸素治療」も導入しています。
がんを治療する際には、様々な症状や治療に関連する副作用、合併症などと上手に付き合う治療も必要です。「支持療法」や「緩和ケア」と呼ばれ、痛みや吐き気、発熱、貧血、不安、息苦しさ、腹痛、便秘、下痢、むくみ、血圧、痺れなどと多岐に渡ります。がんと診断された時から治療の両輪として支え合う関係にあります。
昨今、がんの治療では社会的な支援が必要な場合も増えてきました。社会状況の変化もあり、就労しながらの治療、一人暮らしの方への介護の支援も大事になっています。
がん治療というものは病気だけではなく、ひとりひとりの状況、それぞれを取り巻く環境も含めて支援する事が必要であり、それらを十分に行うことが必要な治療を続ける事に繋がります。
※1 免疫チェックポイント阻害剤…免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ(ブレーキがかかるのを防ぐ)薬
※2 ゲノム医療…多数の遺伝子を同時に調べ、ひとり一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療
副作用の緩和につながる
がんの薬物療法と栄養について
戸畑共立病院の永田葉子と原澤あゆみに聞きました。
食欲がない、食べられないその原因は?
当院では、放射線治療・温熱療法・高気圧酸素治療を併用したがん薬物治療を行っています。
がん薬物治療とは、薬を用いて、がんを治したり、あるいはがんの進行を抑えたり、症状を和らげたりする治療です。がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響が及びやすく、副作用が大きい傾向があります。
副作用の一つに、吐き気や嘔吐があり、食事がとられず栄養状態が悪くなると治療の継続ができなくなることがあります。適切な治療と日々の生活を継続するためには栄養面への配慮が重要になります。
患者様に自宅での生活状況や食事の摂取状況について質問させていただき、全身状態の観察を行っています。副作用をみながら抗がん剤の種類を検討し、少しでも経口摂取できるように患者様の嗜好に合わせた食事の提案・食事形態の工夫に努めています。必要に応じて、管理栄養士からの専門的な指導を受けることができる体制も整っています。
食事は私たちの生活の一部であり、栄養は生きていく上で欠かせないものです。本来、楽しみであるべき食事もがん治療の副作用によっては苦痛になり得ます。食事量が減ると体重減少だけでなく、免疫機能まで低下し、感染症の原因にもなります。また、食事がとれていても、がんにより発生するサイトカイン(※1)によって筋肉の分解や栄養吸収能力の低下が体重減少に繋がることもあります。
がん治療に伴う副作用による「なぜ、食べられないのだろう?」という患者様のお悩みを症状別に考え、緩和につながった対策をいくつかご紹介します。
※1 サイトカイン…炎症が体内で起こっているということを知らせるシグナルで、体の中に何か異物が侵入した時に戦うための仕組み
食欲不振の場合
食事の時間にこだわらず、「今なら食べられそう」というときに、すぐに食べられるものを買い置きしておきましょう。少量で栄養価が高くなるように、粉末のコーンスープを牛乳や豆乳で溶かし、冷やしておくと良いでしょう。
吐き気・嘔吐の場合
食前にレモン水や番茶でうがいをします。多くの食品は、冷やすか室温程度にするとにおいが抑えられて、食べやすくなります。冷やし茶づけや一口おにぎり、ミニロールサンドなどがオススメです。嘔吐した時は、水分と一緒に胃液に含まれる電解質(ナトリウム、カリウムなど)も失われ、脱水症状が起こり、さらなる食欲低下につながります。電解質を補ってくれるイオン飲料や経口補水液やスポーツ飲料で補うと良いでしょう。
口内炎や口腔乾燥の場合
パサパサした食品は飲み込みにくく、粘膜を傷つけることもあります。片栗粉でとろみをつけたり、マヨネーズや練りごま、ヨーグルトなどで和えたりすると、脂肪の膜が喉の通りを助けてくれるのでオススメです。
認定看護師・技師からのmessage ~伝えたいこと~ Vol.15
適切な薬物療法を提供
がん薬物療法認定薬剤師は、がん治療における薬物療法に関して、より高度な知識や技術を身につけ、治療を有効かつ安全に行うことを目的として、一般社団法人日本病院薬剤師会によって認定される資格です。
現在、レジメン管理、抗がん剤調製など外来化学療法室の専任薬剤師として業務に従事しています。がん治療チームの一員として、患者様を中心に多職種間の連携を図りながら、患者様に少しでも安心して治療を受けていただけるよう努めています。
近年、抗がん剤治療は複雑な投与方法となっており、免疫チェックポイント阻害薬など従来の抗がん剤とは異なった作用の薬剤も登場し、それに伴う有害事象も多岐にわたります。抗がん剤治療について、副作用モニタリングシート等で患者様に説明を行っておりますが、気になることや心配なことがございましたら、お気軽にご相談ください。
安全で有効な治療を提供するためには地域医療機関や保険薬局との連携が不可欠であると考えています。このため当院では、ホームページにて登録レジメン情報の掲載を行っています。また、外来で患者様に施行されたレジメン情報、投与量の変更理由、有害事象等を記載した「レジメン文書」を発行し、お薬手帳に貼付しています。入院患者様が退院する際には、入院中に施行した化学療法や薬剤変更内容、アレルギー歴、副作用歴等を記載した「退院時服薬説明書」を交付しておりますので、ご参考いただけましたら幸いです。 適切な薬物療法を提供する為には、情報を共有し連携できる体制が必要です。戸畑薬剤師会と連携してレジメンに関する勉強会を行い、加えて化学療法ケアを考える会や洞薬会(北九州地区勤務薬剤師会)のがん薬物療法委員会の委員として研修会の開催等も行っております。今後も引き続き積極的な地域活動に取り組んでまいります。
戸畑共立病院画像診断センター
MRI装置をリニューアル!
検査時間の短縮と検査環境が改善
MRI(エムアールアイ)という装置をご存知でしょうか。磁気を使って体の中を検査する機械です。「暗い」「狭い」「うるさい」「検査時間が長い」といったあまり良くないイメージをお持ちの方もおられるかと思います。本年10月、そのような検査の環境を大きく変えるような新しい装置と検査室がお目見えすることになりました。
患者様に快適な検査空間を
検査室の中はとても明るく、まるで森の中の木陰にいるような、心が落ち着く風景の中で検査を受けられるようになりました。新しい装置は以前に比べ音も小さく、音楽を楽しみながら検査を受けることができ、さらに検査にかかる時間を現在の約半分に短縮できます。また、検査の際に入るドームの中も以前の装置より広いスペースが確保され、検査中は特別なモニタで美しい映像を見て過ごすこともできます。
来年2月にはもう一台のMRIも入れ替わります。雰囲気を一新し、明るくリラックスできる環境を整えた当院のMRI検査を、ぜひご体験ください。
私のONとOFF
スタッフの仕事とプライベートをみなさまにご紹介します
あやめケアプランサービスステーション
あやめレンタルサービス 主任 吉武 健一
働きやすい環境づくりとサービス向上へ
居宅介護支援事業所、福祉用具事業所の管理者を兼務しています。利用者様と直に接する機会は少なくなりましたが、スタッフが働きやすくなることでサービス向上につながればと日々仕事をしております。2021年4月の介護保険制度の改正や、新型コロナウィルスの影響による例外的な制度の変更にも、情報のアンテナを張っています。2部門を束ねる責任のある立場にまだまだ慣れない所はあ
りますが、少しずつ対処できるようになりたいと思います。
Q. あなたの趣味は何ですか?
A. 2羽の文鳥と一緒に過ごすことです。
Q. それはいつから始めましたか?
A. 2021年3月に飼い始め、雛から育てました。
Q. 趣味にまつわるエピソードは?
A. 雛から育てたので人にも慣れていて、ゲージから出して放鳥すると喜んで肩や膝の上で遊んでいます。また毎日、私の手の中で一生懸命水浴びをする姿が可愛く、見入ってしまいます。
旬の簡単レシピ
今回の旬の食材 [南瓜]
南瓜は緑黄色野菜の一種であり、βカロテンをはじめ、ビタミンC・Eなども多く含みます。いずれも抗酸化作用があり、体を細菌から守る抵抗力を高めてくれるため風邪予防にも効果的です。また、βカロテンやビタミンEは熱に強く、油と一緒に摂ることで体への吸収率も高まるため、お料理やおやつにも幅広く活用しやすい嬉しい野菜です。
材料(2名分)
南瓜 200g
水 100ml
牛乳 200ml
バター 4g
コンソメ 4g
塩 少々
胡椒 少々
ヨーグルト 60g
パセリ 適量
作り方
① 南瓜はワタと種を取って皮を剥き一口大に切る。
耐熱容器に入れラップをし600Wの電子レンジで4分程度加熱する(お好みで皮付きや冷凍南瓜
など使用しても可)。
② 熱いうちに南瓜をフォークで潰し、ミキサー又はハンドブレンダーで水・牛乳を加えながら攪拌する。
③ 鍋に②、コンソメ、バターを入れ中火にかけ、よく混ぜ合わせながら塩・胡椒で味を調える。
④ 火を止め、粗熱が取れたら器に注ぎ、トッピングにヨーグルトを回し入れパセリを散らして完成。