社会医療法人　共愛会広報誌　Tsunagaru　2020年冬号

表紙（クリックで拡大）

共愛会広報誌をリニューアルしました。

今号(vol.74)より、広報誌「しおかぜ」から「Tsunagaru(つながる)」へと名称を変更しリニューアルを致します。今まで、爽やかな潮風を感じられるような情報発信を目指して発刊しておりましたが、より地域に密着し、皆様と広報誌を通じ「Tsunagaru」ようにと願いを込め、より読みやすさに配慮したデザインリニューアルし、様々な情報発信を行っていきたいと思っております。地域との「つながる」を表現するために、戸畑区の街並みをイラストで表現しました。今後ともご愛読のほどよろしくお願いいたします。

病気のはなし

技術の進歩により治療精度が大幅に向上した放射線治療
体への負担が少ない放射線治療について今田先生に聞きました。

放射線治療は”人にやさしい”

今や日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人はがんで亡くなる時代を迎えています。何よりも早期発見・早期治療が重要なことは言うまでもありません。
全国的に見て治療機を3台有している施設はあまり多くはない。当院では汎用機のリニアック（令和2年1月に最新の装置で治療開始）・サイバーナイフ（定位放射線治療専用機）・トモセラピー（IMRT専用機）を用い、患者さまの思いを聞きながら、一人ひとりにあった集学的治療を提供できる施設です。
戸畑共立病院は、地域に高度ながん診療を提供可能なことはもちろん、治療実績や患者さまへのサポート体制などが評価され平成31年4月1日付で厚生労働省指定の「地域がん診療連携拠点病院」に指定されました。

放射線治療で多くのがんを治せます！
進行したがんの痛みや出血など、がんに伴う症状緩和にも「放射線治療」は有効！

頭頚部がん

放射線治療では、声を失うことも、顔を傷つけることもありません。唾液が出なくなるといった副作用も最新の技術(IMRT)で少なくなってきました。

肺がん

早期であれば、手術が一般的ですが複数の照射(定位放射線治療)で治療することも可能です。抗がん剤との組み合わせで、進行がんでも効果を発揮します。

前立腺がん

低リスクから高リスクまで治療することが可能です。治療成績は手術と比べ、同等もしくは治療法によっては同等以上です。最新の技術(IMRT)で副作用も少なくなってきました。また、数回の照射(定位放射線治療)で治療することも可能です。治療日数1日の小線源治療という選択肢もあります。仕事との両立も可能で、男性機能も比較的保たれます。

食道がん

手術が一般的ですが、抗がん剤との組み合わせで、食道を温存しながら、治療することも可能です。手術ができない進行がんでも治せることもあります。

乳がん

手術のあとに放射線を照射することで、乳房を温存しながら、再発を予防できます。進行した患者では、乳房の切除後でも、放射線治療が必要になることがあります。

新世代の放射線治療機 TrueBeam<トゥルービーム>導入！

がんの種類やステージによって幅広く対応可能
よりハイパワーになった放射線治療機について当院の医学物理師がご紹介します

戸畑共立病院では2008年から汎用放射線治療機を用いて、多くの患者さまの治療を行ってまいりました。
今回、従来の機器に替えて、新治療機「TrueBeam」を導入することになりました。

放射線治療機器TrueBeamとは

TrueBeamは、アメリカのハイテク産業の拠点、シリコンバレーに本社を置くバリアン・メディカル・システムズが開発しました。同社が長年にわたって培ってきた技術をベースに、根本から設計を見直した新世代の放射線治療機です。フルデジタル制御とハイパワー化を実現、新呼吸同期システムも備えています。

フルデジタル制御で高精度化

超高電圧を使用する放射線治療機はデジタル制御が困難でしたが、TrueBeamはフルデジタル制御を実現しました。従来より1桁高い精度を達成、高精度治療にふさわしい性能を備えています。

ハイパワーで治療時間を短縮

TrueBeamは時間当たり従来の2～4倍もの放射線を照射できます。長時間の治療を余儀なくされていた定位放射線治療に威力を発揮します。

新呼吸同期システム

患者さまの呼吸に合わせて放射線を照射する「呼吸同期システム」は強度変調放射線治療に対応。これまでは困難だった肝臓や膵臓などの治療に可能性を開きます。

治療開始に向けて

新治療機TrueBeamはすでに組み立てを終えています。しかし、目に見えない放射線を用いて安全で正確な治療を行うには、事前に入念なチェックが必要です。現在、医学物理師と診療放射線技師が協力して取り組んでいますので、治療開始まで今しばらくお待ちください。改めて、ホームページにてお知らせします。

認定看護師からのmessage　～伝えたいこと～ Vol.8

今回はがん放射線療法看護認定看護師からのメッセージです。

日焼けのような症状の放射線皮膚炎

放射線治療ってどうな風にするんだろう？　痛いのかな？　熱いのかな？　など様々な疑問があると思います。放射線は目に見えませんが、放射線治療中に痛みや熱さを感じることはありません。
しかし、治療台に10～20分寝た状態で治療を行いますので、同じ体勢を保つことで痛みが出る方もいます。
放射線治療では治療部位によって副作用が違います。しかし、放射線は必ず皮膚を通過して病巣に達するため、照射された部位の皮膚に日焼けのような症状が起こります。それを放射線皮膚炎といいます。

放射線皮膚炎の程度は、照射の量や部位・照射方法により異なります。通常は、治療開始2～3週間後より起こり、治療終了後1ヵ月程度で、ほぼ治療前の状態に戻ります。
治療開始から上記のイラストにあるような「放射線皮膚炎の予防対策」を心がけましょう。
他にも治療部位によってどのような副作用が出現するかを予測し、患者様に合わせたケア方法の説明を行っています。
治療が始まる前から私たち看護師は、放射線治療を受けられる患者様とそのご家族が安心して治療が行え、日常生活が続けられるように身体・精神・社会生活など、様々なサポートをさせていただきます。
気になることや不安なことなどがあれば、いつでもご相談ください。

Tell Me Doctor おしえてドクター

特定健診、忘れてませんか？

特定健診（メタボ健診）
40～74歳の方が対象で（妊娠中・介護施設入所中などを除く）、少ない負担額で1年に1回受けられます。北九州市国民健康保険の加入者は無料です。

特定健診は俗にメタボ健診とも呼ばれますが、正式名称は「特定健康診査」と言います。「診査」とは行政用語で、人の体の状態を「診て調査」するという意味です。かつて働き盛り世代の突然死が社会問題となりましたが、メタボが脳卒中や心筋梗塞の引き金となることが分かりました。具体的には問診、医師診察、身体測定（身長・体重・腹囲）、血圧測定、検尿（尿蛋白・尿糖）、血液検査（肝機能・糖代謝・脂質）を行います。また法の基準に該当した方には、貧血検査・心電図・眼底検査の1つ以上が追加となります。特定健診でメタボと判断された場合、一部の例外を除き、保健師等による改善のサポート（特定保健指導）の対象となります。なおメタボ以外の判断はしないということではなく、明らかに異常がある場合は精密検査をお勧めすることとなります。
ご自身では健康だと思っていても、知らないうちに脳卒中や心筋梗塞の危険が迫っている方がたくさんおられます。
特定健診は、加入している健康保険組合（健康保険証の発行元）から受診のお知らせが来ます。受けなくてもご自身には罰則はありませんが、お安く受けられて、重大な病気の早期発見に繋がります。一年に一度の定期的な健診をしましょう。