社会医療法人 共愛会広報誌 しおかぜ 2017年夏号
特集 認知症カフェ~カフェ アイリス~
認知症カフェは、認知症の方やそのご家族、地域住民が集う場です。当法人ではカフェ アイリスとして平成27年11月15日にオープンしました。情報の交換や共有を行い、認知症について理解を深めることを目的としています。誰もが気軽に参加・相談できる場所ができました。
チョットひと息! 一緒におしゃべりしませんか?
カフェアイリスは医療や介護の専門職に相談できる地域交流の場としての役割もあります。運営スタッフは主に法人職員とボランティアですが、認知症の方やそのご家族もスタッフとして参加しています。
また様々なミニ講演を行っており、好評を頂いています。内容は管理栄養士による「認知症予防に効果的な食事」、リハビリスタッフによる「認知症予防体操」、チェロとサックスの「音楽コンサート」などです。
現在、65歳以上の10人にひとりが認知症にかかっていると言われ、高齢化社会の日本では大変身近な病気の1つです。認知症になっても、慣れ親しんだ我が家でいつまでも過ごす事が出来る、そんな地域づくりを目指しています。
災害拠点病院に指定されました
戸畑共立病院は2017年4月1日付で『災害拠点病院』に指定されました。災害拠点病院とは、災害時に医療救護所や地域の医療機関で対応できない重症者や高度救命医療を必要とする負傷者の収容、治療を行う地域の中核的な医療機関のことです。
被災地内の災害拠点病院は、負傷者の収容、治療、広域搬送への対応を行うほか、県の要請に基づいて、被災地外から派遣されるDMAT(災害派遣医療チーム)などの医療救護班の活動拠点になります。
被災地外の災害拠点病院は、県の要請に基づいてDMATを被災地に派遣するほか、被災地内で対応できない患者さまの受け入れを行います。
当院では、今回の『災害拠点病院』指定を機に、より地域社会に根ざした医療体制を提供できるように努力してまいります。
超音波内視鏡 ガストロビデオスコープを導入しました
このスコープは、通常の内視鏡スコープの先端に、超音波装置が組み込まれた特殊な内視鏡スコープで、消化管の内部から超音波(エコー)検査を行うことができます。体表からのエコー検査と異なり、胃や腸の中の空気、腹壁、腹腔の脂肪、骨などが妨げになることがありません。そのため、観察目的部位の近くから、高い分解能の超音波観測をすることが可能となっています。
超音波ガストロビデオスコープは、主に上部消化器官(胃、食道、膵臓、胆道)で使われ、各臓器の内部、周囲の臓器、血管、リンパ節などの情報を視覚的に得ることができます。また、確定診断のために、超音波内視鏡ガイド下穿刺(FNA)という、超音波で粘膜下の状況を確認しながら細胞を採取することも可能です。
当院では、このスコープを利用し、病巣の深達度診断の他、特に直接内視鏡で観察することが困難な部位(膵臓、胆のう、胆道)の精密検査を中心に検査を行っています。特に膵臓に対しては、CT検査等では判別しにくい2cm以下の早期膵臓癌も、超音波内視鏡検査を行うことで発見することが可能です。モニターに表示された画像が、膵臓・胆道のどの部分であるかを、周囲の臓器や血管などを参考にして同定、確認を行います。
病気のはなし 血液浄化療法 透析
実際の透析
腎臓は、単に「尿を排出する」だけの臓器ではありません。
1.老廃物(尿毒素)を排出する
2.水分量を調節する
3.電解質・pHを調整する
4.造血などのホルモンを生産する
などの、身体の恒常性のバランス調整に深く関係しています。
透析は、この1~4の腎臓の働きの代わりをするものですが、1回4時間・週3回の透析でも、100%の代替治療ではありません。生活指導・栄養指導も、大事な治療の一環であり、看護師・栄養士などと連携を取りながら、少しでも患者さまの透析ライフが充実するよう努めています。
透析の現状
現在、わが国では、30万人以上の患者さまが、透析を受けています。
腎不全の三大原因疾患は、糖尿病・腎炎・腎硬化症(高血圧)です。
その特徴は、成人病に関与した糖尿病・高血圧が約6割を占めることです。
20年前に透析開始時の原因疾患で、10年前に現透析患者数で、糖尿病が腎炎を越えて第1位になりました。
開始時平均年齢・現患者平均年齢は年々上昇を続け、現在70歳に及ぼうとしています。
検診を受けていますか?
多くの検診には、尿検査の項目があります。これは、簡易的に尿蛋白・尿潜血などをチェックしているもので、腎炎などのスクリーニングに役立ています。
腎炎は、腎不全の原因疾患
一次検診で腎炎の存在が大きく疑われた場合、病理検査などで診断を確定し、必要であれば内服を中心とした治療を開始します。生活指導や食事指導も、大事な治療のひとつです。
それでも腎不全になったら
腎炎と一言に言っても、多くの種類があり、中には治療に抵抗するものもあります。不幸にして腎不全になった場合、その働きが10%以下になった時点で透析を始めなければなりません。
スタッフレポート
私は「患者さまが安心して療養できるように、そして職員が安心して働けるように」という気持ちから感染管理認定看護師を目指しました。
たくさんの人が行き交う病院という環境の中で「防ぐことができる感染」を防止することは、私やチームの大きな役割です。患者さまは多くの不安を抱えていらっしゃいます。しかし感染を引き起こす原因である細菌やウイルスは目に見えません。見えないものから患者さまと職員を守るためには、日常から全員参加で感染対策を行うことが重要です。
多くの歴史から現代の感染対策が行われるようになりました。看護教育の母であるフローレンス・ナイチンゲールは、感染対策の先駆者でもあります。先人たちの思いを胸に、初心を忘れず患者さまや職員に寄り添える看護師として日々活動していきたいと思います。