社会医療法人 共愛会

広報誌『しおかぜ』2018年春号

社会医療法人 共愛会広報誌 しおかぜ 2018年春号

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次世代の定位放射線治療装置 サイバーナイフM6へ更新

 サイバーナイフシステムは、ロボットアームの先に小型の放射線照射装置を取り付け、多方向から高線量を1mm以内の精度で病巣に照射することができるシステムとして世界的に認知されています。
戸畑共立病院では昨年9月まで使用してきたサイバーナイフG3から最新のサイバーナイフM6へ更新し、今年1月より治療を開始しました。治療範囲も頭部から体幹部まで拡大し、照射装置やロボット性能が向上したことにより治療時間も3割程度短くなりました。

正確なピンポイント照射

サイバーナイフは天井にある二つのX線撮影装置で得られる画像をもとに位置合わせを行います。認識された位置ずれは6軸の関節を持つロボカウチと呼ばれる寝台と照射装置のついたロボットアームにより補正されます。照射中も一定間隔でX線画像を撮影しながら補正計算を行いロボットアームが調整しながら照射を進めていきます。これらにより正確な位置合わせと補正が可能となり、高度なピンポイント照射を行います。

自在に動くロボットアームを使って様々な方向からこのピンポイント照射を行うことにより、病巣周辺の正常組織に当たる放射線を限りなく減らし、標的の病巣だけに放射線を集中させることができるため、副作用も少なく患者さまにやさしい治療が提供できます。
また、リスクが高いため手術困難な部位へのピンポイント照射や放射線照射歴がある病変に対しての再照射も可能です。

高い治療効果

病変の形状に合わせた照射が可能

当院のサイバーナイフM6はマルチリーフコリメータ(MLC)も装備されており、従来は円形の放射線を用いて治療をしていましが、MLCが搭載されたことにより腫瘍の形状に整形した放射線を当てることが可能となりました。この機能を用いることで、より効率的に放射線を腫瘍に集中させることができ、治療時間の短縮も期待されます。

胴体追尾技術

今回の装置更新により治療可能領域が体幹部まで拡大されましたが、それに加え呼吸によって動く腫瘍に対しての追尾照射も可能となりました。
サイバーナイフM6はロボットアームが腫瘍を自動的に追尾しながら放射線を当てるシステムを有しているため、患者さんは息止めや腹部圧迫などをして腫瘍の動きを抑える必要がなく、自然な呼吸をしながらでも高精度な放射線治療を受けることができます。
ただし、この場合はあらかじめ腫瘍の近くに小さな金属を挿入することが必要(肺腫瘍などX線画像上で孤立してシステムが認識できる場合は不要)で、呼吸での腫瘍の動きをその金属で認識し追尾することにより行います。
このシステムは、胸やお腹に取り付けたLEDマーカの動きから患者さんの呼吸波形をとりながらX線撮影を行い、呼吸と挿入された金属の位置関係を割り出します。
照射時は、ロボットアームが連続的に動くことにより照射ビームが腫瘍を追いかける様にして治療します。治療中も定期的なX線撮影によって呼吸波形をみていますので、呼吸状態の変化にも対応することが可能です。

認定看護師からのメッセージ

 私が資格を取得している皮膚・排泄ケア認定看護師は、皮膚にトラブルが生じやすい方へのスキンケアや排泄ケアに対し、専門的な知識や技術を生かした看護を提供していく分野です。
今回は、その中でもストーマ(人工肛門・人口膀胱)のことについてお話をします。ストーマという言葉を耳にしたことはありますか?ストーマは、さまざまな病気や障害、事故などが原因で、おなかに手術で作られた便や尿の排泄口のことを言います。最近ではフリーアナウンサーの中井美穂さんが約1年ほどストーマを保有して仕事をしていたことを告白されました。また、インターネットの世界ではストーマについて様々な情報が飛び交っています。私が目にしたものはストーマを保有した患者さまのツイッターです。みなさんそれぞれの日常を過ごされています。
ストーマを保有して生活することは想像が全くつかないと思いますので、実際にストーマになると聞くと、ほとんどの患者さまが途方に暮れてしまいます。私たち皮膚・排泄ケア認定看護師は、ストーマをお持ちのみなさま日常生活をより快適に過ごされるようにお手伝いいたします。
当院には専門のストーマ外来も設置しています。外来では手術前、入院中、退院してからの生活の中での困ったことなどの相談に応じてアドバイスができますので、お気軽にお声掛けください。

スタッフレポート

福田 和恵さん
明治町クリニック/看護部

たくさんの経験の積み重ねが今の自分に繋がっています。

 訪問診療看護は、ご利用者の居宅へ医師とともに訪問し医療行為を行うサポートをします。必要な医療を受けながら、その人らしい人生が送れるように支援する役割を担っています。ご利用者の生活の場に入っていくことで、病院では見られなかった一面が見られ、たくさんの身近な情報を得ることが出来ます。そこで出会う安心した笑顔に触れると、心を開いてくださった実感が得られます。そのご利用者を支えるご家族とも、深くふれあうことが出来る仕事です。
訪問診療看護に携わって20年以上がたちました。たくさんの経験の積み重ねが今の自分に繋がっていると感じています。また、ご利用者には100歳を超える方もいらっしゃいます。そういう方たちから、人間として、医療従事者として、まだまだ日々教えられることばかりの毎日です。

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