社会医療法人 共愛会

広報誌『しおかぜ』2019年冬号

社会医療法人 共愛会広報誌 しおかぜ 2019年冬号

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表紙の作品作者

戸畑リハビリテーション病院「緩和ケア病棟」

様々なつらさをやわらげる緩和ケア

緩和ケアとは

 がん患者さまや、そのご家族ひとり一人の身体や心など様々なつらさをやわらげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケアです。
「つらさをやわらげる」という緩和ケアの考え方を、診断されて間もない時期から取り入れることで、こうしたつらい症状を緩和しながら日々の生活を送ることができます。「痛みやつらいことは、仕方がないことだ」とあきらめることはありません。

病気に伴う心と体の痛みをやわらげます

当院では、がんを小さくしたり取り除いたりする治療はしません。がんに伴って出現する痛み、だるさ、食欲不振、息苦しさなどの症状を薬などを用いてやわらげます。痛みや辛さを我慢する人がいますが、我慢せずしっかりとったほうが余命が長くなるという報告がありますので、きちんと薬を使って症状をコントロールしていきます。薬は職員が管理するため、依存症の心配はありません。
症状をやわらげながら、最後まで穏やかに、ご本人らしく過ごせるようにケアをしていきます。希望があり状況が許せば、外出や外泊はいつでも可能です。自宅で過ごしたい気持ちが強くなれば、必要と思われるサービスの導入や環境調整を行い、ご自宅に退院できるようにサポートします。通院や訪問診療に切り替え、その時々のご本人やご家族の希望に対応致します。

緩和ケア病棟の入院基準

●がんによる身体的・精神的な苦痛を持ち、緩和ケアが必要とされていること。
●積極的な治療を行わないことを、ご本人とご家族が理解されていること。
●ご本人が病名・病状についてりかいされていること。

入院までの流れ

①入院相談
緩和ケア病棟地域連携室へ連絡相談。(師長またはMSWが対応)患者様の状態などある程度の内容を連絡し、診察・面談の日程調整。
②診察・面談
患者さまご本人・ご家族に対し、医師・看護師・MSWによる診察・面談(見学可)。かかりつけ医又は入院機関の紹介状をお持ちください。
③入院判定会議
緩和ケア病棟担当医師・看護師・MSWにより、入院の適否、入院日程の検討。
④患者さま・ご家族または入院機関へ連絡
緩和ケア病棟担当MSWより、入金可否・入院日の連絡を行う
⑤入院

緩和ケア病棟が行うチーム医療とは

 いまだに、緩和ケア病棟は「死にゆくところ」という誤解を持つ患者さま・ご家族も少なくありません。
当病棟は、がん患者さまが体験する痛みやきつさなどの身体的症状や、気持ちのつらさなどの精神的症状などに対して、治療を行っていくところでもあります。患者さまの「家で過ごしたい」という意思を尊重し、患者さま・ご家族が安心して在宅診療へ移行できるように支援いたします。また、患者さまとそのご家族が体験する悲嘆(グリーフ)に対して継続的にケアを行っていきます。
緩和ケア病棟では、多職種が専門性を発揮しています。緩和ケアを必要とする患者さまとそのご家族は、全人的な苦痛・苦悩を抱えておられます。私たち緩和ケア病棟のスタッフは、多職種がチーム一丸となってその苦痛に寄り添い、その人らしく生きることを支えます。

認定看護師からのmessage ~伝えたいこと~Vol.4

戸畑共立病院 看護部
認知症看護認定看護師
加藤 美奈

物忘れと認知症について


 「あれよ。あれ。」「あれ取って」物の名前が出てこずに、会話をしていませんか?物忘れとは、加齢によって生じるものであり誰にでも起こり得ます。認知症と間違えられることがありますが、加齢に伴うもの忘れは、ゆっくり考えたり、ヒントをもらうことで思い出したり、日常生活へ支障をきたすことが少ない点で区別されます。何より、自分自身でもの忘れを自覚しています。しかし、認知症の人は忘れたことを自覚していません。体験自体を忘れているからです。「同じことを何度も言ったり聞いたりする」「日常的に出来ていたことをしなくなった」「時間の感覚がわからない」「季節がわからない」など、いつもそばにいる家族が気づくこともあります。認知症は脳の病気により生じるもので、徐々に進行し日常生活にも影響を及ぼすようになります。
これからは誰もが認知症になる可能性がある時代だといわれていますが、認知症の予防とその発症を遅らせる方法として、バランスの良い食事・有酸素運動・禁煙、そして疾病予防が大切とされています。生活習慣病にかからないようにすること、すでに病気にかかっている方は適切な治療を受けることが大切です。
認知症の症状がある方でも、住み慣れた自宅・地域であれば生活することが可能な場合も多くあります。元気なうちから予防を取り入れ、気になる症状のある方はぜひ、もの忘れが以来の受信をお勧めいたします。

スタッフレポート

川下 愛さん
戸畑共立病院/医事課

外国の患者さまが安心して診療を受けていただくために。

医事課のスタッフとして、日本語以外でのコミュニケーションが必要な患者さまの対応を担当しています。受付だけでなく診察・検査における英語・日本語通訳や、問診票をはじめとする各種文書の英語版作成に取り組んできました。
外国の患者さまが安心して診療を受けることができるよう、様々な配慮すべき点を意識しながら対応しています。例えば、口頭でのやりとりだけではなく、文書やイラストによる説明が重要だと感じています。また、英語で通訳する際、患者さまが理解できない単語などの場合は、別の簡単な表現で言い換えたりイラストなどを見せたりすることで、患者さまが確実に理解できるまで説明するようにしています。
今後も、患者さまが話す内容を正確に理解することや、自分が伝えたいことをわかりやすく伝える工夫をすることで、より良い対応をしていきたいと考えています。

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