健診センター 池田秀郎
私事ですが、40年間医師として活動して参りました。前半は消化器外科医として手術を中心に、後半は一開業医として地域医療に微力ですが貢献して来たつもりです。其の経験の中で、一番感じた事は、早期の治療で助かる命が,自覚症等出現しても放置され,いよいよどうにもならなくなっての受診と悲惨な結末でした。日本人の死因のほとんどが癌や脳血管障害、冠動脈疾患で有り、癌の早期発見と肥満予防、糖尿病や高血圧、高脂血症等の生活習慣病と呼ばれる疾患の予防が重要であることは言うまでもありません。健康診断による予防医療は、国民医療費の観点からも極めて有用なことと考えますし、疾患が発見された場合でも、過去の健診でのデータとの比較は、今後の診療において大いに役立つと思います。
企業が従業員に対して健康診断を実施しないと、法的な問題に直面します。健康診断を行うことによって企業は法律的に義務を果たすことになり、従業員を守ることにもつながります。しかし現実には,健診を受けるも結果を軽視し,ひどい例では結果も確認せずに放置する方も居ます。健診はある意味,その人が今後も健康な社会生活を送ってよいかどうかの試験です。試験を受けて結果も確認しないとは言語道断と考えます。今後は健診センターとして健診率の向上はもちろんの事,健診後のフォローアップをもっと充実させて行きたいと考えています。