■臨床工学科について
臨床工学技士は、安全安心な医療提供が出来るよう、医師の指示のもと、医療機器の保守管理・操作を行う職種です。当院における業務内容は急性期医療からがん治療と多岐に渡っています。臨床工学科のミッションは、『医療安全の向上・チーム医療の実践・専門性の追求・効率的な機器運用』です。そのために、フットワーク・チームワーク・ネットワークをスローガンにチーム医療に貢献できる医療機器のスペシャリストを目指しています。

■臨床工学科の組織体制について
臨床工学科には総勢22名の技士が在籍しています。業務内容は高気圧酸素治療温熱治療(ハイパーサーミア)医療機器管理(人工呼吸器管理・急性血液浄化含む)内視鏡手術室人工透析と多岐に渡っており、部門毎に責任者を配置し、組織横断的な業務展開を実践しています。当科はそれぞれで専門性を追求するために長期ローテーション制を導入しています。また、積極的な資格・認定取得、および学会発表・研究などの学術研鑽を奨励しており、幅広くチーム医療に貢献できる人材育成を目指しています。

高気圧酸素治療業務
■高気圧酸素治療とは
       

 高気圧酸素治療とは、大気圧よりも高い気圧(2~2.5気圧)環境下に患者さんを収容し、高濃度酸素を投与することで、組織の低酸素状態の改善を図る治療法です。血液中の溶解酸素の増加と酸素による抗菌作用、加圧によって、様々な疾患に対し効果の発揮が期待できます。

       

 当院は24時間365日体制で緊急時の対応も可能であり、外来治療も対応しています。
お問い合わせ:社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 地域医療連携室
TEL:0120-008-914(直通)TEL:093-871-5421(代表)

■適応疾患・診療報酬
       

〇減圧症または空気塞栓
〇急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む)
〇重症軟部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)又は頭蓋内膿瘍
〇急性末梢血管障害
 ・重症の熱傷又は凍傷
 ・広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
 ・コンパートメント症候群又は圧挫症候群
〇脳梗塞
〇重症頭部外傷後若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫
〇重症の低酸素脳症
〇腸閉塞
〇網膜動脈閉塞症
〇突発性難聴
〇放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍
〇難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
〇皮膚移植
〇脊髄神経疾患
〇骨髄炎又は放射線障害

(引用元:平成30年度 診療報酬点数より)

■当院の高気圧酸素治療
       

 当院は第1種高気圧酸素治療装置を4台所有しています。年間約6000例の治療実績があり、安全性と質の高い治療を行っています。日本高気圧環境・潜水医学会認定施設であり(全国43施設)、高気圧酸素治療専門技師が4名在籍している施設です。
 施行症例としては、がん治療と急性期治療を主に行っています。
がん治療では、腫瘍内低酸素細胞環境の改善を目的に治療を行っており、ハイパーサーミア・化学療法・放射線治療の増感目的または遅発性放射線障害治療目的で使用されています。急性期治療では、熱傷や広範挫傷、コンパートメント症候群などの急性末梢血管障害の創傷治癒目的の治療、腸閉塞、脳梗塞に対する治療を行っています。当治療室では、幅広い診療科が関わって、積極的に治療を行っています。

■突発性難聴への治療
       

 突発性難聴の原因は不明であり、血管障害に続発する酸素不足に関連する可能性があるとされています。高気圧酸素治療は耳や脳への酸素供給を増加させ、難聴や耳鳴りの重症度を低下させる目的で使用されています。
 高気圧酸素治療の有効性に関しては、2012年に更新されたCochrane Reviewの結果によれば、突発性難聴における高気圧酸素治療の効果を検討したランダム化比較試験は7つの報告があります。そのうち統計学的な評価が可能な4つの比較試験からは、平均して15。6dBの有意な聴力改善が得られたとされています(参考文献参照)。

参考文献:突発性難聴に対する高気圧酸素療法の効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi/62/1/62_1/_pdf/-char/ja

■減圧症の治療
       

 ダイビングにおいては、減圧に伴う窒素の気泡化で減圧症が発症することがあります。その病態は、気泡による物理的な障害、血管閉塞による障害に加え、虚血再灌流障害により重症となるため、速やかな再圧治療が必要となります。減圧症の治療効果として、再度酸素投与下で加圧することにより、気泡を消失させ窒素ガスを酸素へと置き換えることができます。
 通常のⅠ型減圧症(皮膚の掻痒、疼痛、発疹、四肢の関節・筋肉痛を含む症状)では、外来通院で症状をみながらの治療となることが多いため、まずは医師にご相談下さい。

参考文献:日本高気圧環境・潜水医学会雑誌Vol.52(3), Sep, 2017
     減圧症治療における第1種装置と第2種装置の使い分け
http://journal.jshm.net/lib/2017/523-07.pdf

ハイパーサーミア(がん温熱療法)業務
■原理と特徴
       

 患部を二枚の電極で挟んで、非侵襲的に8ⅯHzの電磁波を照射し加温します。正常細胞では熱が加わると、血管が拡張し血流が増加することで、熱を放散させる働きがあります。一方、がん細胞では、そういった機能が著しく低下しているため、温度が上がりやすいといった特徴があります。この特性を活かし、がん細胞だけを選択的に加温します。
 また、この治療で使われる電磁波は放射線とは異なるもので、人体への悪影響がないため、治療回数に制限はありません。

■治療効果
       

 人間の細胞は42。5度以上の温度になると死滅します。この熱の効果を利用し、がん細胞だけを選択的に加温することで効果が得られます。また、41度程度の比較的、低い温度においても、放射線治療や抗がん剤の効果を増感させる働きがあります。当院では化学療法・放射線治療とハイパーサーミア(50分)の併用を積極的に行っており、集学的治療の効果が最大限なものとなるよう、患者一人一人に対し最適な治療を提供しています。

■当院のハイパーサーミア
       

 山本ビニター社製のサーモトロン-RF8を2台保有しています。2003年より治療を開始し、日本ハイパーサーミア学会認定施設として、年間約2400件の治療実績を誇る全国でも有数の病院です。また、集学的治療を行うに際し、チーム医療の機能化を図り、各種治療室(温熱治療室・放射線治療室・化学療法室・高気圧酸素治療室)を全て集約させた造りとなっていることも特徴としてあげられます。
 治療担当者は、臨床工学技士が4名(男:2/女:2)で、ハイパーサーミア指導医のもと、指導教育者、認定教育者、認定技師といった専門資格を有した専任者が従事することで、安全で質の高い治療を提供しています。
 治療適応は、脳・眼球を除く固形型悪性腫瘍で、全例でサーモシミュレーターを用いた加温評価を行うと共に、患者情報を多職種で共有し、連携強化を図る目的で、週4日、多職種合同の病棟回診を実践しています。

■業務内容
       

 装置の保守管理を始め、機器の操作、加温出力調整、サーモシミュレーターを用いた加温評価、患者への治療説明、回診への参加と一連の業務を担っています。
 治療中は、機器の操作だけでなく、患者さんとできるだけ多くの会話をし、不安や悩みを傾聴することで信頼関係を築き、二人三脚の医療を心掛けています。また、学術研鑽も積極的に取り組んでおり、県内の地方会から全国学会において精力的に発表を行い、最新の知識と技術の習得に励み、日々の業務に活かせるよう取り組んでいます。

■診療報酬

  • 深在性悪性腫瘍 90,000円(一連の治療につき)
  • 浅在性悪性腫瘍 60,000円(一連の治療につき)
  • 本治療は保険適応で、完全予約制となっております。
    お問い合わせ:社会医療法人共愛会 戸畑共立病院 地域医療連携室
    TEL:0120-008-914(直通)TEL:093-871-5421(代表)

    手術室(OR-CE)業務
    ■当院の手術室
           

     当院は手術室が4室(内1室クリーンルーム)あり、年間約2500件の手術を行っています。一般外科、整形外科をはじめ泌尿器、眼科、形成外科など各診療科の手術を医師を筆頭に、看護師、臨床工学技士、放射線技師など多職種でチーム医療を行っています。
     また、当院は手術室と中央材料室が併設しています。中央材料室では、看護師、臨床工学技士、ケアワーカーと協働業務を行っています。
     当院の手術室・中央材料室の特色としては、器械出し業務(清潔補助業務)や中央材料室業務に特化した手術室専任の臨床工学技士である、Operating Room- Clinical Engineer:OR-CEが在籍していることです。2009年より専任化を開始し、現在は3名のOR-CEが従事しています。

    ■清潔補助業務
           

     清潔補助業務とは、術前に患者情報を評価し、手術に必要な器械、器材を準備し、提供することです。単に器械を渡すだけでなく、手術中は手術野からの情報を評価することで、先を予測し、必要な器械・器材をタイミングよく術者に手渡し、常に円滑な手術を術者と共に展開することです。

           

    参考文献:松沼早苗、徳山薫、森田理恵、分倉千鶴子(2013)第5章 手術看護 日本手術医学会 手術医療の実践ガイドライン pp.38-48.

    ■中央材料室業務
           

     中央材料室とは、医療行為で使用され、血液や体液などで汚れた再使用可能な器械類を洗浄、消毒または滅菌処理を行い、再使用可能な状態にするための場所であり、病院全体の診療や看護が安全に円滑に医療業務が行われるよう間接的援助を行うための部署です。患者様と直接触れる部署ではありませんが、中央材料室が機能しないと診療・処置ができなくなると言っても過言ではなく、病院の「縁の下の力持ち」的な存在であり、手術室の連携して安全な器材を提供している部署です。

    ■OR-CEの業務
           

     OR-CEは術前から術後までの工程全てに関与しています。術前では医師カンファレンスに参加し、使用機器の確認や情報提供を行い、手術室の朝礼では、看護師と患者や医療機器の情報共有、手術スジュールの把握をすることで緊急手術にも対応できる体制を整えています。
     手術では、生命維持管理装置である麻酔器や、電気メス、内視鏡関連機器などの点検やセッティング、操作などを行っています。清潔補助業務では、医療機器管理を前提とした 業務提供を行っています。臨床工学技士が清潔補助業務を 行うことで、清潔野での医療機器のセッティングや作動確認、 手術中のトラブルにリアルタイムに対応することができます。
     術後では、中央材料室で看護師、ケアワーカーと協働し合い器械類の洗浄(消毒)、滅菌の全ての業務を行い、洗浄や滅菌の質の担保を図っています。また、高度で繊細な腹腔鏡鉗子や、スコープなどの破損防止や早期発見に努めています。
     近年、臨床工学技士が清潔補助業務や、中央材料室に介入する施設が徐々に増えてきています。当院ではSeamless(継ぎ目のない)な保守管理を実現させるため2009年よりOR-CEを介入させるなど、先駆的な活動を行っています。

    【OR-CEの業務内容】

  • 術前:看護師と患者や医療機器の情報共有
  • 手術:使用前点検、清潔補助業務、使用中点検
  • 洗浄:洗浄業務、洗浄の質保証確保
  • 点検:使用後点検
  • 滅菌:滅菌業務、滅菌質保証確保
  •          

    参考文献:日本臨床工学技士会 手術室業務検討委員会(2015).手術領域 医療機器の操作・管理術メジカルビュー社


    血液透析治療業務
    ■透析スケジュール

    月・水・金2クール、火・木・土1クール

     
    AM(8:30~)  
    PM(13:30~)        

    旅行透析にも対応しています。
    お問い合わせ:社会医療法人共愛会 戸畑共立病当院 地域医療連携室
    TEL:0120-008-914(直通)TEL:093-871-5421(代表)

    ■オンラインHDF
           

     オンラインHDF とは清浄化された透析液を置換液として直接血液に補液し、濾過を行うことでより多くの物質を除去する治療法であり、透析液を使用する事で置換液量も大幅に増量することが可能です。
     臨床効果としては①β2-M の除去と透析アミロイドーシス治療効果②貧血の改善③炎症改善効果④透析低血圧への効果⑤生命予後の改善⑥愁訴の改善(掻痒感、骨・関節痛、食欲不振等)などが報告されています。

    参考文献)一般社団法人日本透析医学会 維持血液透析ガイドライン:血液透析処方

    ■透析液清浄化
           

     透析液が汚染されていると、治療の際に汚染された透析液が体内に流入する事で慢性的な炎症状態を引き起こし、アミロイドーシス、動脈硬化、貧血など様々な影響を与えるといわれており、可能な限り清浄化された透析液の使用が望まれます。
     当院では「透析液水質管理基準2016」に準じた厳重な水質管理を行い、超純水透析液を使用しています。

    ■当院の血液透析治療
           

     血液透析とは、血液を体外に取り出し、透析器(人工腎臓)の中で、血液と透析液が透析膜を介し接することで、拡散や濾過の原理を用いて血液を浄化する治療です。腎不全に対する一般的な治療法で、体内にたまった老廃物の排泄、電解質の調整、酸・塩基平衡の維持、体液量の調節など腎臓の働きの一部を代替します。
     当院では年間約7000件の治療を行い、当院通院中の患者様だけでなく、近隣の透析クリニック等から入院される患者様も積極的に受け入れています。
    また人工呼吸器などを装着するような重症度の高い患者様は、移動可能な個人用透析装置を使用し、HCUで出張透析を行っています。
     アフェレーシスに関しては、血球成分除去療法(GCAP)を行っており、治療件数は年間約100件と地域でもトップクラスの治療実績があります。
     透析専門の有資格者が多数在籍しており、医師・看護師・臨床工学技士のチームワークで安全かつ質の高い治療の提供、患者様のQOL向上に寄与できるよう治療しています。

    ■業務内容
           

     使用機器の日常点検や定期点検、トラブル発生時の対応など保守管理を始め、水質管理、ダイアライザーの選定、透析効率の評価、PTA介助などの業務を担っています。
     治療時は、穿刺、接続操作だけでなく、患者さんとの会話から、不安や悩みを傾聴することで信頼関係を築いていく様心掛けています。
     最新の知識と技術の習得に励み、日々の業務に活かせるよう取り組んでいます。

    【使用機器】
    ・逆浸透法精製水製造装 JWS社製 MXR752`C  
    ・多人数用透析液供給装置 東レ社製 TC-30R  
    ・透析剤自動溶解装置 東レ社製 TP-AHI-R/TP-BHI-R  
    ・透析装置 東レ社製 TR-3000M 14台
        日機装社製 DCS-100NX 4台
          DBB-100NX 1台
    医療機器管理業務
    ■医療機器管理業務とは
           

     院内の医療機器の保守管理・点検・操作、安全管理、医療機器に関する講習会などを行う業務です。医療機器の購入から廃棄まで全てに携わり、院内の医療機器を安全且つ効率の良い運用を目指しています。点検業務においては、使用前、使用中、使用後点検を実施しています。
     医療機器に関する教育活動としては、院内講習会を新人、中途採用者、部署対象別に区分し定期的に開催しています。臨床工学技士の活動により、医療機器に関する安全文化の醸成に繋がることを目標とし日々活動しています。

    ■戸畑共立病院における医療機器管理の特色
           

     当院は1998年に医療機器管理業務を開始し、今年で20年目を迎えます。医療機器管理チームは、現場に密着した業務を目指しています。点検業務においては、使用前、使用中点検、日常点検、定期点検、返却時点検を実施しています。日常点検は、チーム医療の一環として連日、医療機器使用患者のもとに出向き、1台1台確認しています。また、使用状況を把握したうえでトラブル対応を心掛け、現場からの依頼は、迅速に対応することで病院全体から信頼できる業務を目指しています。定期点検においては、保守管理計画に基づき、日常点検より詳細な点検やバッテリなどの定期交換部品の交換を実施しており、安全な医療機器 が提供できるよう取り組んでいます。
    現場教育にも力を入れており、定期的に現場看護師などに医療機器の研修を行い、安全な医療機器の使用方法の習得に取り組んでおります。

    ■医療機器カンファレンス
           

     医療機器管理業務は、様々な業務を習得することが可能です。医療機器管理業務はもちろんのこと、人工呼吸療法、急性血液浄化療法、腹水濾過濃縮再静注法などの業務習得が可能です。様々な業務を行うため、情報共有が重要となります。
     医療機器管理チームではカンファレンスを実施し、患者情報や医療機器の使用状況の情報を共有し、円滑な業務ができるよう取り組んでいます。また、カンファレンスをディスカッション形式にすることで、経験の少ない職員も意見が出せるよう心掛けています。

    ■集中治療領域の血液浄化療法について
           

     臨床工学技士は、重症患者の腎補助療療法として持続的血液濾過透析(CRRT)をはじめとして、急性期治療の中で施行されるすべての血液浄化法に対応しています。当院では、主に急性腎不全、敗血症性ショック、急性肝不全、薬物中毒、自己免疫疾患の急性増悪などの疾患や病態を対象とし、治療補助を行っています。

    ●持続的血液透析濾過(CRRT)について
     特に術後の状態の不安定な患者に対し、24時間体制で治療を行い、老廃物の排出・炎症性サイトカイン(炎症物質)の除去、除水管理を目的に行っています。
    臨床工学技士は、導入から回収まで一連の対応を行い、機械の動作中点検、回路内圧の観などを安全に実施しています。治療は医師、看護師、その他メディカルスタッフと連携しより安全且つ効率のよい治療を実施できるよう努めています。

    ●エンドトキシン吸着療法 
     細菌が作る毒素であるエンドトキシンが体内に流入することによる敗血症性ショックに対して治療を行っています。血液をエンドトキシン吸着カラムに通してエンドトキシンを取り除く治療法(PMX)を行うことで病態改善に繋げています。
     臨床工学技士は、導入から回収まで一連の対応を行い、機械の動作中点検、回路内圧の観察を安全に実施しています。緊急時の対応が必要となるため、24時間365日、いつでも対応が出来るような体制を取っています。

    ■チーム医療
           

     医療機器管理は、現場に赴いて業務を行う機会が多い為、様々なチームを牽引しています。当院においては、特に医療安全管理委員会の救急対応・RST・MACTから構成されるRRS推進チームと密接に連携し活動を行っています。
     人工呼吸管理に関しては、RST(呼吸サポートチーム)と連携し、人工呼吸器装着患者を対象にアセスメントの実施、安全使用の確認、スタッフ教育を行っています。アセスメントに関しては、記録の充実を図り、状態の変わりゆく患者様に対して情報の収集と提供を心がけています。安全使用のラウンドを毎日実施し、安全且つ適切に使用して頂くため、現場看護師と連携し、最適な治療環境の提供に日々努めています。
     生体情報モニタ装置の管理においてはMACT(モニタアラームコントロールチーム)と連携し、病棟におけるモニタアラームの無駄鳴り防止をはじめ、アラームの適正使用に向けた活動に取り組んでいます。
     急変時や急変前の徴候を発見した際は、救急対応チームと連携し、急変対応や、機器の手配及び操作を行っており、救命率向上や、急変率低下に向けた取り組みを行っています。

    内視鏡業務
    ■当院の内視鏡室
           

     当院は現在、検査室3室と透視室の計4ベッド、内視鏡システムは6台を保有しています。臨床工学技士(以下CE)は4人在籍し、3名が消化器内視鏡技師認定資格を有しています。
     症例数は年間約5500件で、そのうち治療件数は約25%を占めています。検査を始め、ESDやERCP 等の治療介助業務はCEが行い、安全で質の高い検査・治療に貢献しています。その他の業務として、内視鏡装置やスコープ等の機器管理業務、洗浄消毒関連の感染管理業務、カプセル内視鏡の1次読影も行っています。当院は24時間体制で緊急時の対応も行っています。

    ■特殊治療について
           

    ESD 生理的開口部(口や肛門)から内視鏡を入れて癌を切除する侵襲の少ない治療です。
     年間約160件行っており、全ての介助をCEが行っています。咽頭ESDや頸部食道ESDの際は内視鏡室で全身麻酔にて行うため、人工呼吸器対応も行っています。また、当院では外科と連携でLECS(腹腔鏡・内視鏡合同手術)も行っており、内視鏡室CEと医療機器担当CEが連携し対応を行っています。

    ERCP 特殊内視鏡を使用し胆道と膵管を造影する検査治療です。
     年間約200件行っています。総胆管結石の砕石除去や、胆管閉塞に対しステントの留置を行っています。ERCPは緊急性が高く高度な技術が求められる手技であることから、全ての介助をCEが行うことで質の高い医療の提供に努めています。

    カプセル内視鏡 小さな内視鏡を飲み込み小腸や大腸の中を撮影する検査です。
     カプセル内視鏡検査は通常8時間の検査で、1秒間に2〜6枚の写真を撮影しながら、小腸や大腸の消化管内の写真を撮影する検査です。検査終了後は約10万枚と膨大な画像に対し、CEが1次読影を行うことで、医師への業務支援を精力的に行い、読影時間の短縮・制度の向上に努めています。

    ■保守管理業務
           

     内視鏡は上部・下部・小腸・カプセル内視鏡等、あらゆる病態に対応できるように機器をとり揃えており、それらを一括してCEが管理しています。
     定期点検・始業点検・終業点検を実施し、機器の異常を早期に発見し対応することで検査治療に対する安全性の向上と修理費の削減に努めています。

    【業務内容】

  • 日常点検(使用前、終業時、定期点検)
  • 新規機器・機材の購入時の選定
  • 医療材料の在庫や滅菌管理
  • メーカー・業者との窓口
  • ■洗浄消毒業務
           

     当院では検査・治療後すぐにCEがベッドサイドで1次洗浄を行い、その後内視鏡洗浄消毒装置OER-4で2次洗浄(洗浄・消毒)を実施しています。使用直後に洗浄が行える環境のため、有機物の固着が防止出来るほか、更に検査介助についたCEが洗浄を行うことで、内視鏡の異常を一早く検知出来ます。品質管理を確実に実施し、検査・治療が円滑に行える環境を提供しています。

     洗浄消毒の履歴管理は内視鏡情報管理システム(NEXUS)を使用しています。使用した内視鏡スコープ、使用した洗浄機、洗浄実施スタッフ、消毒濃度の有効濃度範囲などの明確化により業務の標準化を図っています。

    部署紹介

    ■教育システムについて


     2015年4月より「バディシステム」を導入しました。
    CE2名がバディを組み、対等な立場で、互いの特性や能力を活かしながら、問題や知識・情報を共有し、業務補完し合う制度です。
    当科では、導入期、拡充期、定着期を経て、質の高い教育の構築を目指しています。

    バディの立場は対等
    組み合わせは上司が決定。経験年数に関係なく 互いを尊重し、報連相ができる関係を構築する。
    【メリット】
     ①業務の効率化
     ②安心した業務遂行
     ③業務補完
     ④業務の環境改善
    行動イメージは7:3
    個人行動を7割、バディの行動を3割とし、業務を共有化することで、業務の抱え込みを防止する。
    バディミーティングの実施
    毎朝、業務の報告及び業務上の相談、意見交換のためのミーティングを実施する。
    【効果】
     ①超過勤務時間の減少
     ②個人の業務抱え込みの防止
     ③未完了案件の減少
     ④部署方針や目的意識の浸透
     ⑤新人教育への応用
    組織的な介入は必須
    月に一度科内にて、バディシステムの目標、課題などの協議を行い組織全体で共有化する。
    ■ 働き方改革について
                     

     昨今の働き方改革により、サービス残業の廃止、有給消化率の向上を実現しています。さらに長期休暇(夏休み、冬休み:約5日間)も取ることができます。各種手当(資格手当、待機手当、福利厚生)も充実し、働きやすく風通しの良い職場環境となっています。
     様々なミーティングにて情報共有を図っています。チーム間、部署間にて定期的に情報交換を行い、意識統一、業務改善に繋げています。トップダウン、ボトムアップのバランスを尊重し、若いスタッフでも意見しやすい環境の構築を目指しています。

    ボトムアップについて
    各チーム(医療機器管理、高気圧酸素治療、内視鏡 等)のミーティングにて情報共有を行っています。新人スタッフや経験年数の少ないスタッフが積極的に意見することで、業務の適正化、効率化を図ることが出来ます。
    トップダウンについて
    決定事項は各リーダーが集うリーダー会議にて検討され、部署の方針を決定します。決定事項は定例会議にて報告され、部署内の皆でディスカッションを経て周知されるようにしています。
    ■アクティビティについて
               

     科内の情報共有、連携を図る目的で、様々な交流会を開催しています。良好なコミュニケーションが良い部署を作るという考えのもと、若いスタッフが中心となり実践しています。

    飲食を共にした企画では、歓送迎会、開院記念パーティー(4月第2週)、忘年会、各部門および所属チームの飲み会、BBQ大会などがあります。
    また、当科のオリジナル飲み会であるシャッフル飲み会は、約20名が5班に 分かれくじ引きでメンバー選定されるなど楽しいイベントを行っています。
     年に1度、当科のイベント開催プロジェクトチームチームが企画するスポーツ大会が開かれます。昨年度は科内でフットサル大会が開催されました。 先輩、後輩、男女混合チームにて垣根を超えたチーム編成で楽しみました。 スポーツの後は飲み会にて更なる連携を図り、充実した1日となっています。
     法人内でのスポーツイベント(KAIZEN杯)や多職種が参加するゴルフコンペにも積極的に参加しています。また、法人主催の国内旅行(石垣島など)、海外旅行(ハワイなど)も充実しています。また希望者へは海外研修(アメリカ)への参加も可能です。今後も様々なイベントに積極的に参加し、業務内外で連携を図っていきたいと思います。
    ■学術研鑽について
               

     学術研鑽を奨励しています。小規模から大規模の学会まで、常に研究ができる環境を提供しています。部署内での学会をはじめ、北九州地区の技士間での学会、九州地区の学会、そして全国学会と、多岐に渡り、学術大会への参加および発表を行っています。部署内では学術研鑽費が支給されることから、参加希望の勉強会やセミナーに積極的に参加できます。また、学会発表を行うスタッフに対しては、法人から全面的な支援があるなど、学術研鑽に関してとても恵まれた環境にあります。

    小規模学会(CE学術大会)について 新人スタッフからベテランまで、年に1度(11月開催)の科内学術大会にて研究成果を発表します。優秀賞は奨励金と全国学会への発表を得ることが出来ます。学術研究のノウハウを学ぶ絶好の機会となっています。
    大規模学会(全国学会・学会座長/講師)について 当科は年間20~30演題の学会発表を行っています。県内、全国学会へ参加し、全国の専門技士やスタッフと交流することで日々の業務にフィードバックすることが可能です。各業務の専門性向上を図っています。
    ■主な学会発表実績
    開催月 学会・研修会名 演題名
    2018年5月 第26回福岡県臨床工学会 ・当院でのRO膜交換周期の検討
    ・バディシステム構築に向けた3年間の取り組み
    ・消化器内視鏡業務における臨床工学技士の役割と再確認の必要性~内視鏡業務指針の発行を受けて~
    ・当院で治療する患者の透析効率の現状
    2018年5月 第28回日本臨床工学会 ・急性末梢血管障害に対するHBOTの経験
    ・高気圧酸素治療における医薬品(貼付剤・軟膏)の持ち込みについて
    ・インシデント事例からみた当院の取組み ~加温不備防止に向けて~
    2018年6月 第15回日本臨床高気圧酸素・潜水医学会 ・高気圧酸素治療における医療用医薬品(貼付剤・軟膏)の持ち込みについて
    ・高気圧酸素療法記録システム H.E.R.O.™の活用方法の検討
    2018年7月 福岡県臨床工学技士会 第25回呼吸療法セミナー ・知っておきたい高気圧酸素治療の知識
    2018年7月 第31回九州中四国ハイパーサーミア研究会 ・温熱化学療法と放射線治療のアブスコパル効果により奏効した上顎洞腺様嚢胞がん肺転移の1例
    ・インシデント事例からみた当院の取組み ~加温不備防止に向けて~
    ・集学的治療で良好なコントロールが得られている子宮頸癌術後再発の1例
    2018年8月 第35回日本ハイパーサーミア学会 ・サーモトロンRF-8 加温方法についての検討
    ・サーモトロンRF-8のサーモシミュレーターは活用する指標になり得るか
    2018年9月 第13回九州臨床工学会 ・清潔補助業務と中央材料室業務における臨床工学技士の役割
    2018年11月 第74回九州消化器内視鏡技師研究会 ・対極板における皮膚熱傷の危険性についての検討
    2018年11月 第53回日本臨床高気圧環境・潜水医学会 ・高気圧酸素治療時の危機管理:現状の把握と今後について
    ・高気圧酸素治療における医薬品の持ち込みの検討
    ・第1種高気圧酸素治療装置のストレッチャーにおける胸骨圧迫について
    2018年12月 第31回日本内視鏡外科学会 ・外科的内視鏡業務における臨床工学技士の役割 ~臨床工学技士が確保する安全な内視鏡関連器具の提供~
    2019年1月 日本高気圧環境・潜水医学会 関東地方会 第2回 高気圧酸素治療基礎セミナー ・高気圧酸素治療の安全管理と合併症予防
    ■取得資格・認定 2019年12月現在              
    学会・研修会名 取得者数
    修士(保健科学) 1名
    高気圧酸素治療専門技師 5名
    臨床高気圧酸素治療
    装置操作技師
    8名
    ハイパーサーミア認定技師 3名
    ハイパーサーミア認定教育者 2名
    ハイパーサーミア指導教育者 1名
    3学会合同呼吸療法認定士 7名
    消化器内視鏡技師 4名
    透析技術認定士 2名
    医療情報コミュニケータ 3名
    第1種滅菌技師 1名
    第2種滅菌技師 2名
    日本DMAT隊員 1名

    ■各業務実績

    高気圧酸素治療 疾患別内訳(件)
    疾患別内訳 2018年度
    放射線又は抗癌剤と併用される悪性腫瘍 2250
    放射線障害 559
    腸閉塞 582
    コンパートメント症候群/圧挫症候群 264
    ガス壊疽/壊死性筋膜炎 311
    脳梗塞 910
    難治性潰瘍を伴う末梢循環障害 597
    骨髄炎 165
    末梢神経疾患 179
    皮膚移植 84
    急性一酸化炭素中毒 9
    その他 55
    合計 5965
    ハイパーサーミア 部位別内訳(件)
    疾患別内訳 2018年度
    浅在部 460
    深在部 胸部領域 660
    腹部領域 1048
    骨盤領域 210
    合計 1
    血液浄化療法 手技別内訳(件)
    疾患別内訳 2018年度
    人工腎臓 6402
    胸水・腹水濾過濃縮再静注法 46
    持続緩除式血液濾過 41
    血球成分除去療法 85
    消化器内視鏡 手技別内訳(件)
    疾患別内訳 2018年度
    検査 上部消化管内視鏡 3047
    下部消化器内視鏡 1156
    治療 内視鏡的狭窄部拡張術 66
    内視鏡的胃・食道静脈瘤治療
    (EVL・EIS)
    7
    粘膜下層剥離術(ESD) 152
    内視鏡的消化管止血術 116
    粘膜下層剥離術(ESD) 152
    胃ろう造設術 35
    粘膜切除 (EMR・ポリペクトミー) 593
    胆管・膵管系内視鏡 (ERCP・EST・ERBD等) 187
    小腸内視鏡 54
    カプセル内視鏡 42
    内視鏡的消化管ステント留置術 14
    内視鏡的消化管異物除去 33
    その他 115
    合計 5617
    医療機器定期点検台数(台)
    疾患別内訳 2018年度
    人工呼吸器 28
    除細動器 12
    輸液ポンプ 133
    シリンジポンプ 107
    生体情報モニタ 120
    深部静脈血栓予防ポンプ 70
    低圧持続吸引器 9
    超音波ネブライザー 67
    経腸栄養用輸液ポンプ 32
    合計 578
    医療機器修理件数(台)
    疾患別内訳 2018年度
    人工呼吸器 11
    除細動器 6
    輸液ポンプ 49
    シリンジポンプ 15
    生体情報モニタ 74
    生体情報モニタ用送信機 21
    深部静脈血栓予防ポンプ 11
    超音波ネブライザー 13
    低圧持続吸引器 9
    経腸栄養用輸液ポンプ 6
    透析装置 7
    その他 143
    合計 365
    医療機器安全研修会(名)              
    疾患別内訳 2018年度
    イ|ラ|ニング 医療ガスについて 604
    生体情報モニタについて 312
    輸液ポンプ・シリンジポンプについて 279
    AEDについて 565
    透析について 278
    呼吸療法について 270
    除細動器について 270
    電波利用について 736
    集合型研修 一次救命処置研修会 159
    新規採用機器研修会 348
    新規入職者対象 医療機器者研修会 26
    中途入職者対象 医療機器者研修会 12
    部署対象研修会 101
    合計 3960