下肢の閉塞性動脈硬化症

日本においては高齢化と食生活の欧米化が進み、動脈硬化性疾患の患者さんが著明に増加しております。全身的には心筋梗塞や脳梗塞も動脈硬化による疾患ですが、下肢の閉塞性動脈硬化症を発症する患者さんは最も動脈硬化が進んだ状態と言われています。
患者さんが気づく主な症状は「足が冷たい、足先が紫色になる、足先が痛い、続けて長く歩けない、足の踵や趾先に傷ができ治らない」などといった症状です。重症化すると足趾の壊死をきたし黒くなってきます。こうなると下肢の切断の危機になります。こうなる前に受診してください。重症化した患者さんの治療は難易度も高く、時間も長期間になります。

治療法には以下のものがあります。
① 内服薬での治療(主に軽症の患者さん)
② 血管造影を行い、バルーンやステントで動脈を拡張させる
③ 血流の良い大腿動脈などから膝や足首の動脈へのバイパス手術(特に重症の患者さん)

下肢の閉塞性動脈硬化症のある患者さんのバイパス手術前と手術後の検査所見と足の状態の変化をお見せします。

バイパス手術前(左)手術後(右)
ステント前(左)ステント後(右)
左踵 手術前(左)手術後(右)

手術前は足先に虚血性の潰瘍を作り、動脈は数箇所で狭窄と閉塞を認めます。
手術後は大腿動脈から膝下の動脈へのバイパスが良好に流れ、潰瘍は治り、お仕事に復帰できました。