胆道がん

胆道とは、肝細胞から分泌された胆汁が十二指腸に達するまでの全ての排泄経路をさしますが、胆道がんは一般的には肝外の胆道にできたがんのことを指します。肝内の胆管にできたがんは肝がんの範疇になります(肝内胆管がん)。がんの発生した部位により胆管がん(肝外胆管がん)、胆のうがん、十二指腸乳頭部がんに分類されます。

胆管がんや十二指腸乳頭部がんでは黄疸がよくみられます。黄疸では皮膚や白目が黄色くなったり、尿がとても濃い茶色になったりします。黄疸はがんで胆道がつまり胆汁の流れがせき止められることにより、うっ滞した胆汁が血液中に逆流することにより生じます。黄疸が出ると、手術や治療が安全に行えなくなりますので、「胆道ドレナージ」という処置を行います。これは、つまった胆管の部分にプラスティックや金属の管を挿入して、胆汁を十二指腸の中に流れるようにする処置です。管は内視鏡的に十二指腸側から通す方法と肝臓を穿刺して肝内の胆管から通す方法が有ります。

胆道がんの治療としては手術が最も有効な治療法です。がんができた部位によって手術方法は異なります。肝臓に近い胆管にできたがん(肝門部領域胆管がん)や肝側に進展する胆のうがんにおいては、肝臓内にがんが広がっていることがあり、肝臓をとる範囲は広範囲におよぶものから一部のみでいいものまでさまざまです。(図 胆道がんに対する肝切除と胆のう、胆管切除)

図 胆道がんに対する肝切除と胆のう、胆管切除

肝臓とともに肝外の胆管を切除する術式です。肝方向に進展した胆のうがんや、肝臓に近い部位の胆管にある胆管がんに対して行います。切除後は胆管と空腸を吻合します。

十二指腸に近い部分にできた胆管がん(遠位胆管がん、胆管に近い部位にできた胆のうがんや十二指腸乳頭部がんでは、膵臓の一部を含めた胆のう、胆管、十二指腸の切除を行います。(図 胆道がんに対する膵頭十二指腸切除、膵頭十二指腸切除における膵、胆管、胃の再建方法)手術後は再発を抑制するために薬物療法を行います。

手術ができない場合あるいは手術後に再発した場合は、薬物療法や放射線療法が行われます。がんの根治を期待するのは難しいですが、がんの進行を抑え、生存期間を延長したり症状を和らげたりする効果があります。近年、新規薬物の導入、複数薬物の併用や放射線治療の併用などにより、より高い効果が得られるようになりました。最近では、当初は切除ができない進行したがんや肝臓に再発したがんに対してこれらの治療を行い、良く効いたため手術が可能となり、長生きされている患者さんもみられるようになっています。

図 胆道がんに対する膵頭十二指腸切除

遠位胆管(乳頭部に近い部分の胆管)、胆のう、十二指腸を切除する術式(黄色枠内)で、乳頭部にあるがん、遠位胆管にある胆管がん、胆管に近い部位にある胆のうがんに対して行われます。

図 膵がんに対する膵体尾部切除

A:残った膵臓と空腸の吻合
B:残った胆管と空腸の吻合
C:胃と空腸の吻合