戸畑共立病院に「da Vinci Xi」が導入されます
戸畑共立病院における新たながん治療の選択肢として、ロボット手術支援装置ダビンチがいよいよ導入されます。
ダビンチは2023年末時点で日本国内におよそ700台以上導入されており、腹腔鏡手術はロボット支援手術に置き換わりつつあります。その手術件数は年々右肩上がりに増加しており、より精緻な手術を目指す上で欠かせないものになっています。
当院では2024年秋頃をスタートの目標とし、患者さんにとってより安全で安心して手術を受けていただけるように、万全の準備を整えてまいります。
ロボット手術とは
手術支援ロボットは1990年代に開発が始まり、1999年にdaVinci® surgical system (Intuitive surgical社, 米国) が登場しました。その後、ロボット支援手術は世界的に急速に発展し、日本においては2009年に薬事承認され、2012年に泌尿器科手術(前立腺全摘除術)に対して保険収載されました。
消化器領域では2018年に胃がん、直腸がん、2022年には結腸がん手術が保険収載されました。現在その他、呼吸器外科、心臓血管外科、婦人科で幅広く保険収載され、日本におけるロボット手術件数は全国で年間50,000例以上に及び、手術をおこなうにあたり、欠かせないものになりつつあります。
ロボット手術は、安定した3次元の高解像度画像の視野で、多関節機能と手振れ補正機能を有したロボットアームを操作しておこなわれます。その結果、腹腔鏡手術を遥かに凌駕する操作性の高さで、より繊細な手術をおこなうことが可能になり、神経温存やリンパ節郭清(がん細胞がいる可能性のあるリンパ節を区域として切除すること)をより正確におこなうことができます。
また、操作性の高さは、骨盤の中などの狭いスペースで行う手術において、その力をより発揮することができ、これまで永久人工肛門とせざるを得なかった肛門に近い直腸がんは、肛門温存ができる可能性が高まります。つまり、がんの根治性と機能温存を追求できるものということです。
da Vinciは全世界でおおよそ8,600台導入され、現在までの累積症例数は850万件を超えています。日本では約700台以上が導入され、その信頼性は高い水準にあります。
ロボット手術のメリット
1 低侵襲
傷口が小さく、手術中の出血量や術後の疼痛も少ないなど、患者さんの身体へのさらなる負担軽減が期待されます。
2 合併症低減
ダビンチの「鉗子(かんし)」は正確で柔軟な動きを再現し、病変部に的確にアプローチできるため、組織の損傷や合併症のリスクを低減します。
3 早期社会復帰
低侵襲・合併症低減など体への負担が少ない分、術後の早い回復と入院期間の短縮が見込まれ、早期社会復帰が望めます。
ダビンチのシステム・特徴
ペイシェントカート
【術者の腕となる4本のロボットアーム】
・体内に挿入するアーム部分には、内視鏡カメラと3本の鉗子が装着されています。
・操縦席の3Dモニターを見ながら操作する執刀医の細かな手の動きがコンピューターからアームへ連動し、手術がおこなわれます。
・手首以上の可動域を持つため、これまで難しい位置にあった病変部への手術では特にアームの操作性の高さが発揮されます。
サージョンコンソール
【鮮明で広い立体的な3Dモニターと直感的なコントローラー】
・術者の視野とコントローラ部分を兼ね備えた操縦席。座って手術をおこなうため、長時間集中力が必要となる執刀医の負担も軽減しながら、より正確で安全な手術を支援します。
・コントローラーで直感的な操作が可能になるだけでなく、ロボットによる手ブレ補正機能も搭載されています。
・3Dモニターは術野を拡大して見ることが可能。まるで体内に入っているかのように視界も良好で、細部の手技をより正確におこなうことができます。
ビジョンカート
【ダビンチのシステム同士をつなぐ中枢部分と映像を共有する大型ディスプレイ】
・ビジョンカートは電源・画像処理・情報システムを統合し、ハブの役割を果たすダビンチの中枢といえる機器です。
・手術中の画像を最適に処理する機能が搭載されており、そのライブ映像を上部の大型HDディスプレイが映し、手術チーム全員が進行状況を共有できます。
ダビンチ専用の鉗子(かんし)
【指先のように動く、多様な機能を持つ手術器具】
・10~33㎜程度のダビンチの鉗子類は先端に装着されます。用途ごとにさまざまな形状をしており、物をつかんだり、剥離や縫合など指先のような細かい動作を再現可能にしています。
・ブレがなく柔軟で病変部に的確にアプローチできることで組織の損傷を抑え、合併症の低減にもつながります。
当院が目指すロボット手術
当院では、これまでも体に負担の少ない手術として、腹腔鏡手術に積極的に取り組み、合併症低減や早期社会復帰に取り組んで参りました。ここにダビンチの操作性の高さや正確性が加わることで、よりそれらを追求できるものと考えております。
引き続き、手術手技の向上に向けて地道な努力を日々続けるとともに、まずは安全第一として、より質の高い安全な手術を提供できるよう、初症例に向けてチーム一丸となって取り組んでいく所存です。
当院のがん治療に対する取り組み
また、当院は2019年に厚生労働省指定の地域がん診療連携拠点病院に指定され、多くの診療科や部門が横断的に連携し、がん診療に取り組んで参りました。
内視鏡やCT、MRIを用いた診断や手術だけでなく、抗がん剤治療や放射線治療といった集学的治療から、治療後のリハビリテーションや在宅医療まで、がん治療において直面しうる問題のほぼすべてを一貫してカバーすることができます。
今回のロボット手術支援装置導入に際して、その過程を見直し、病状や患者様のニーズに合わせた最善の治療を提供できるよう取り組んで参ります。
【ロボット手術対象疾患】
下部消化管(結腸)、上部消化管(胃)
順次開始予定:直腸がん
医師紹介
■下部消化管領域
鳥越 貴行(とりごえ たかゆき)外科部長
消化器外科
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医
日本内視鏡外科学会(消化器・一般外科) 技術認定医
日本内視鏡外科学会(消化器・一般外科) ロボット支援手術プロクター
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
内視鏡手術技術認定医(大腸領域)
da Vinci 術者 certificated 取得
下河邉 久陽(しもこうべ ひさあき)
消化器外科
日本外科学会専門医
日本救急医学会救急科専門医
日本DMAT隊員
da Vinci 術者 certificated 取得
■上部消化管領域
長尾 祐一(ながお ゆういち)外科医長
消化器外科
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本がん治療認定医
消化器がん外科治療認定医
健診マンモグラフィー読影認定医
臨床研修指導医
da Vinci 術者 certificated 取得
お問い合わせ先
電話:093-871-5421(代表)
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