肝胆膵がんの集学的治療
肝胆膵がんはもともと治療に抵抗性のがんです。しかしながら、肝胆膵領域がんに対する治療は、手術療法、経動脈治療、薬物療法、放射線療法、免疫療法など多くの治療が有り、近年はそれぞれにその成績はめざましく向上しています。集学的治療とは、このような一つ一つの治療を組み合わせてがんを克服しようとする治療です。さらには、副作用や合併症を軽減し、心身の苦痛全体を和らげる様に多職種で治療に当たることです。
当初は切除ができないほどの進行がんが、経動脈性治療や薬物療法、免疫療法でがんが小さくなり、根治的切除が可能となった患者さんが多くみられます。また、当初から切除が可能であっても、手術前に薬物療法をあらかじめ行って切除後の再発を抑える方法や、再発があっても他の治療を併用しながら再切除を行って長期生存をみている患者さんも多くみられます。それぞれの治療単独では効果に限界があっても、治療を組み合わせることにより治療効果は飛躍的に向上します。
また、がん治療に際して患者さんは、身体的負担とともに精神的不安も抱えることになります。療養生活における生活の質、生活環境や心理的不安などへのケアも非常に大切です。
当院では、このようながん治療をめざし、キャンサーボードと呼ばれる各種診断治療専門部門同士の話し合いを設け治療方針を決定したり、臨床倫理カンファランスという「何が患者さん、ご家族にとって最善であるか」をケースバイケースで話し合ったりして、医師、看護師、リハビリ部門、心理療法士、栄養士、医事課が一丸となって集学的治療に取り組んでいます。(図 肝胆膵がんの集学的治療)